「すみません、あなたとは結婚できません」
それで終わったと思っていた。ところが数か月後、取引先の会社の前で肩を叩かれ、振り返るとあの時の男性が立っていた。彼はまたも名刺を差し出し、
「あの時、戻ったら結婚をしようと言った僕の気持ちに偽りはありませんでした。でも向こうにいる間に僕の身の周りにも色んなことが起きました。あなたを待たせておきながら本当にすまないと思っています。自分勝手だと思います。でも、物凄く悩んで、悩んで、悩みぬいた上の結論なんです」
一週間後、彼から電話が来た。300万円用意したという。多くても100万くらいだろうと思っていたから300万という金額に正直驚いた。数か月前に亡くなった母親の死亡保険金の全額だと言う。新生活に向けて要り様のお金もあるだろうに、何が何でも彼女の両親には知られたくないということだろうか。
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